初めて言われた、キライ
…俊太side…


プルプルプル…


「くそっ…出ろよ…」

朝から何度
電話をかけたか分からない。


でも、ななは出てくれない。


バッグの底に入れたまま
気づいてないか、


俺を避けてるか…




あー…


こんなことになるんなら

昨日言ってしまえばよかった。


あの先輩は、
兄貴を見返すために
明日女を抱く…
と自慢してた最低やろうだと。


だめだ…

そんなこと言ったら
またななが泣いちまう…


そう思って
昨日は言えなかった。


けど、昨日言わなかったせいで
今、ますます
ななが傷ついてるかもしれない。


どうすりゃよかったんだ、俺…


俺は頭をがしがしかいた。



大っきらい


ななに言われて
ガキみたいに
意地を張ったのは

馬鹿だったな、俺は。