今まで心臓の音なんて 意識してなかったけど。 わたしは俊太の胸に 手をあてた。 手を通して伝わってくる鼓動。 「俊太…? どうしてこんなに…」 ドキドキしてるの? わたしが聞き終わらないうちに 俊太がさっと わたしから一歩離れた。 「…俺、 何やってんだか…な」 そう言った俊太の瞳は 悲しげに揺れていたけど、 次の瞬間には 特別に今日は一緒に帰ってやる、 と俊太がわたしに言って 帰り道の俊太は いつもの俊太だった。