「なな…」

そう言った俊太がわたしを
痛いくらいに抱きしめた。


「俊太…?大丈夫?」

いつもどこか
余裕を持ってる俊太。

わたしの名前を呼ぶ
俊太の声がこんなに弱々しいのは初めて。



「ごめん…」

俊太は絞りだすように言った。


なんで謝るの?


分からないけど

「俊太には
わたしがいるよ。
一人じゃないよ…」

と俊太の胸に包まれたまま
一言一言、言っていたら。


あれ……?

俊太から聞こえてくる心臓の音。

トクトクトクトク…

こんなに、速い。