黒板を消し終えて、
俺は教室を出た。
とりあえず、
トイレに向かって歩く。
ななに関わっちまったなぁ…
でもあれぐらいは、
いいだろ。
俺が悶々と考えていると
詩織が前から歩いてきた。
「詩織!どこ行ってた?」
思わず聞くと、
「へ?トイレ」
詩織が平然と答えた。
「黒板消してから行けよ」
子どもみたいに
ぶつぶつ言う俺に、
「…だははは…
ごめんごめん。
大好きな
ななが一人で消してたのが可哀相だったかっ」
一瞬きょとんとしてた
詩織だけど、
納得いったように笑い始めた。
そう。学校の中で詩織だけが
俺の気持ちを知っている。
そして、詩織は
男勝りな性格から
俺と仲良くしてても大丈夫な唯一の女。