ゆらゆらキーホルダーgirl


ぎくしゃくした空気が
なんか嫌で
わたしはずっと地面だけ見てた。

すると

「ばかだな」

「え?なによ?
ばかって言うほうがばか」

俊太にばかって言われた。

なによ、偉そうに…
人の気も知らないで…

俊太の手を振り払って
唇をとがらせる。

「お前なぁ……」

やれやれ、って顔で
さっき振り払った手を
もう一度ひかれて
無理やり立たされた。

「かわいすぎて
なんて言っていいか分かんねぇの」

「え?」

独り言みたいに言った俊太。

はぁー
言わせんなよ…
とため息をついて
歩きだした。

さっきと違ってゆっくり。

「俊太もう一回言って」

「は?なんのことだよ」

もう一回聞きたかったけど
しらばっくれてしまった。



「……ありがと」

隣を歩く俊太を見上げたら
俊太は前を向いたまま
握った手の力を少し強くした。

やっと
俊太の言葉で自信がもてた。