ゆらゆらキーホルダーgirl


「待って待って…
俊太待って」

慣れないヒールだから
5メートルほど先を歩く俊太に
なかなか追いつけない。

「待ってよぉ…」

足痛くなっちゃいそうだよ。

ちょうどあった
バス停のベンチに腰掛けてちょっと休憩。

もういいもん。

俊太なんか先に行ってしまえ。


ふてくされて座ってたら
わたしのヒールの音がしなくなったからか、
俊太が振り返って
小走りで引き返してきた。

「ごめん、なな。
足痛くなっちゃったか?」

心配顔の俊太。

「疲れただけ」

そう答えたら
なぜか急に悲しくなって
涙が出そうに
なっちゃった。

ふてくされてるのは
ほんとは疲れたせいじゃない。

わたしは泣きたくなくて
口をぎゅっと結んだ。

「そんな顔すんなよー
置いてって悪かったよ、ごめん」


「置いてかれたこと
怒ってるわけじゃないもん。
…そんな顔ってなに?
どうせぶさいくだもん。
メイクなんか全然似合ってないもん」


ほんとにわたし子ども。

メイクして髪を巻いて
かわいい服きたら

まるで七五三の子どもみたいに
はしゃいだ気持ちになっちゃって。

ほんとは俊太にかわいいって
言ってもらえるかなぁって
期待してた。


「ほら…行くぞ」

ぼそっと言った俊太が
わたしの手をとってひっぱった。

「やだ…」

完全に駄々っ子だよね、
分かってるけど
引っ込みつかない。