キーコキーコキコ…
八つ当たりしてごめんね、
と言おうとした時、
俊太が小さくこいでた
ブランコからジャンプした。
「ななー
いいこと思いついちゃったよ」
ぼやけたわたしの目にも、
俊太が満面の笑みで
こっちを見ているのが分かった。
「……いいことって…なによぉ」
まだいじけながらも気になって尋ねて
わたしもブランコから降りて
よたよたと俊太の隣に並んだ。
「たろうのこと、
見返してやろう!」
自信満々の俊太。
でも
「……えー?やだよぉ
また恥かくだけだよぉ」
弱気なわたしはその場に座り込んだ。
「スカートよごれちゃうよ?」
「別にいいもん」
頬を膨らませてそっぽを向くわたし。
すると俊太もドカッと地べたに座り込んで
わたしの頭に手をのっけた。
「俺、ずっとななの味方でいるから」
その頃はまだ小さな手。
高い声。
でも、隣に座る俊太が頼もしくて
なんだかすごく大人に見えた。
わたしの悔しさとか悲しさとか不安とか
俊太は全部分かってくれて。
それからわたし達は大作戦を開始した。

