「なんとか、間に合いそう…」

走って学校の近くまで来たら、
わたしと同じ制服の人が
ちらほら歩いていた。


「ふぅっ…よかった」

わたしは走り疲れて
よたよた歩く。


ふと前を見ると
俊太が気だるそうに
歩いているのが見えた。


「俊太っ!」


俊太に追いついて
肩をぽんぽんっと叩くと

俊太がわたしの方を向いた。


「おはよっ」

にこにこしながら
挨拶したんだけど、
俊太は、
はぁ、と溜め息をついた。


「あのな、
何回言えば分かんだ?
学校では俺に話し掛けるな」

声を潜めて俊太は言うけど

「まだ学校じゃないじゃない」

わたしは胸を張って言った。



「誰が見てるか分かんねぇだろ。
もう学校と一緒なの!」


そう言って俊太は早歩きした。


それが失恋した乙女への態度?

あほ俊太…