10分後。

ピンポーン


玄関のチャイムが鳴って
俺はすぐにドアを開けた。


「こんばんは、
ごめんなさいね。
ななが迷惑かけて」

申し訳なさそうな
ななの母さん。


とりあえず
俺の家にいると伝えるため電話したら、ななの母さんは車でななを迎えに着た。



「いえ、大丈夫ですよ。
俺の方こそ、すいません。
ななが、傷つくのを
また守ってやれなくて」


頭を下げる俺に
ななの母さんは


「俊太くんには感謝してるわ。
いつもななのこと
気に掛けてくれて」

本当にありがとうと、
深々と頭を下げられた。


そんな、俺は大したこと
何もしてねぇのに…

黙りこんだ俺に
ななの母さんは微笑みかけてから


ソファーで眠るななに、
ほら帰るわよ、
と声をかけた。



ななは、なかなか
起きようとしなくて

「まったく…この子ったら」
小さく溜め息をついている。