「おっと…
はぁ…また、か」

俊太はわたしの勢いに
ちょっとよろけつつ、

わたしを抱きしめてくれる。


「うう…まただよ」


わたしがかすれた声で
言うと、

俊太は何も言わずに
わたしの背中を
よしよし、と擦った。




玄関でどれくらい泣いていたか分からないけど

わたしはちょっと
落ち着きを取り戻して


「ありがとう、もう大丈夫」
俊太の服で涙をゴシゴシ拭く。


「ばか、お前なぁ!
いい加減それやめろよ!」
そう言って俊太は怒った顔した。

でも本当に怒ってるわけじゃないの。
いつも俊太は怒ったふりして
怒ってない。

いつもと変わらない俊太が
目の前にいると
少しは元気になれそうな
気がしてくる。

「えへへ
つい、いつもの癖でね」

わたしがそう言って笑うと

「まったく…
とりあえず中入るか?」

俊太はわたしの顔を覗きこんで
部屋に招き入れてくれた。