オレは慌てて、

二人に駆け寄る。

「谷口先生、

その患者さんどうしたんですか?」


「診察中に倒れたんですよ。

点滴をして、院内で薬を出してもらって、

今、タクシーに乗せるところだったんです」


・・・

本当に気分がすぐれないのか、

白い肌が、

もっと白く・・・

オレの声に、

ちょっとだけ顔をあげた。

・・・

「せん・・せ」

「一人で帰れるか?」

「・・・」

黙ったまま頷いた美晴。

「谷口先生、タクシーまで、

オレが送ります。

先生は診察に戻ってください」

オレの提案に、

美晴の体を、

オレから離した。

「孝明先生こそ、早く診察に戻られた方が、

いいのでは?

この方は、私の患者さんです」