五分で恋におちました。

着いた場所は駅前にあるファミレスだった。


「少しここで座って待っててもらえますか？すぐに戻りますから。」


そう言って彼に指定された席は店の一番奥の席だった。


「分かりました………。」


私は言われるがままその席に座り彼を待った。


なんで言われるがままこんなところに来てしまったのか自分でも分からない。


もう駅に向かわないともうすぐ終電が行ってしまう時間だ。


私はなぜかもう少し彼と居たいと思ってしまっていた………。


浩介にばれたら怒るだろうな……。


そんな事を考えていると突然頬に冷たい感触がした。


「しばらく頬にそれを当てていて。」



そう言って戻ってきた彼から渡されたのは氷が包まれているタオルだった。


そうださっき頬を叩かれて………。


突然の色々な出来事で麻痺していた頬の痛みとさっきの恐怖が甦った。


目からじわっと涙が溢れそうになるのを私は必死に堪えた。


「恐かったですよね……。もう大丈夫ですよ。」


優しくそう言われて堪えてた涙が溢れだした。


私は泣いている顔を見られないように俯きながら冷たいはずなのに温かく感じられるタオルを力強く顔にぎゅっと押し当てた。