-小学生の頃-

「未柚ちゃんっ」
私には名前を呼んでくれる彼氏と呼ぶ存在の人間がいた。私にとって初めてお付き合いをした人間だった。その頃は男性という類の人は平気だった。ふつうに会話を交わし遊んだりもした。

私はその彼とは幼い頃からの知り合いで、私は別に気にも止めるような相手ではなかった。ただの知り合いか友達程度だった。だが、ある日を境になぜか彼が近づいてくるようになった。
それは小学5年生の頃だと思う。私たちの自由参加行事になぜか一緒に参加をした。行事は山に登るという極単純なこと。私は彼と一緒に登りご飯の時だった。
「未柚ちゃんって好きな人いるの?」
と聞いてきたのだ。私は訳がわからなかった。その時は笑って返す。
「好きな人いるの?」
もう一度聞いてきたとき
「どうでしょう?」
と、答えた。私は恋いなんてしたことがなかったから、そんなのあるわけないと思ったが、その後、頭の中で言葉がくるくると渦を巻いていた。

そんなくるくるな中、野外活動が訪れた。そういう行事には実行委員はつきもの。私は何となく立候補。するとそこに彼がいた。
すごくうれしかった。と思えた。これがいわゆる恋ってやつなのかな?