私は玄関に置いてある父の写真をチラリと見て、そして玄関の扉を勢いよく開けた。


「分かったよ!今日はなるべく早く帰ってくるよ。それと、私は結婚するつもりは、まだ全然無いから!!」


 扉を開けた勢いからか、最後の方は語調が強くなってしまった。

 ちょうど家の前には、ゴミ袋を手にした近所のサラリーマンがいたが、私と目が合うと、明からさまに顔を背けた。
 だが、その肩ガ微かに揺れているのを、私は見逃さなかった。
 私は決まりが悪ぃカミングアウトに、顔を赤くして走りだした。


 そんな穏やかな誕生日の朝、私を見下ろす2つの影があったのを、その時の私は知る由もなかった。