俺は思った。
『…相手がいくら常識の通用しない野獣みたいなヤツだからって、ただ臆したまま、黙って言いなりになんてなるもんか…!!』
…と、そう。
しかし心の中で強がってはみても、構えて握った拳の中は、大量の汗で濡れている…。
俺に今、勇気と戦意を与え続けているのは、
『身体がどんな酷い目に遭おうとも、プライドだけは絶対に守る……!!』
そんな信念と、意地だけだった。
胸の中でその呪文を唱え、自分自身を鼓舞する。
最中、あからさまな誰かからの視線を感じた。
…いや、誰かではなく、誰か “ たち ” 、だ。
良雄からは決して注意を反らさず、目だけを小さく左右に走らせる。
……今になってようやく気づいたが、俺と良雄には、幾つかの視線が集まっていた。
視線の主は、周囲のシートに座ったクラスメイトたち。
さっきまでは、様子を伺いつつも見て見ぬふりをしていたのに、流石にこんな状況にまで発展してしまっては、そうもいかなくなったらしい。
この事態を知っている一部の生徒たちだけが、緊迫した空気を漂わせながら、座席から、この騒動の顛末(てんまつ)を見守っている。
…それでも誰一人として、止めることも先生に知らせることも、しなかったけど。
…まあ、無理もない。
なにせこれは、俺が勝手に起こしたトラブルなんだ。
それに下手な真似をした日には、この “ 質の悪いチンピラ ” みたいな奴に、この先いつまで絡まれ続けるかわかったものじゃない。
『…相手がいくら常識の通用しない野獣みたいなヤツだからって、ただ臆したまま、黙って言いなりになんてなるもんか…!!』
…と、そう。
しかし心の中で強がってはみても、構えて握った拳の中は、大量の汗で濡れている…。
俺に今、勇気と戦意を与え続けているのは、
『身体がどんな酷い目に遭おうとも、プライドだけは絶対に守る……!!』
そんな信念と、意地だけだった。
胸の中でその呪文を唱え、自分自身を鼓舞する。
最中、あからさまな誰かからの視線を感じた。
…いや、誰かではなく、誰か “ たち ” 、だ。
良雄からは決して注意を反らさず、目だけを小さく左右に走らせる。
……今になってようやく気づいたが、俺と良雄には、幾つかの視線が集まっていた。
視線の主は、周囲のシートに座ったクラスメイトたち。
さっきまでは、様子を伺いつつも見て見ぬふりをしていたのに、流石にこんな状況にまで発展してしまっては、そうもいかなくなったらしい。
この事態を知っている一部の生徒たちだけが、緊迫した空気を漂わせながら、座席から、この騒動の顛末(てんまつ)を見守っている。
…それでも誰一人として、止めることも先生に知らせることも、しなかったけど。
…まあ、無理もない。
なにせこれは、俺が勝手に起こしたトラブルなんだ。
それに下手な真似をした日には、この “ 質の悪いチンピラ ” みたいな奴に、この先いつまで絡まれ続けるかわかったものじゃない。

