黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□

ぼやける頭で、そんな意味があるのかないのかわからない状況分析をしていた。

その間にも、背中全体で感じるバスの振動音に混ざって、周囲の音がぼんやりと耳にはいってくる。


『…良雄っ…おまえ…… よくもっ……!!』


『あわわわわ…。
ちょっ、良雄くんやり過ぎだってば!
ちょっと落ち着い……』


『き、吉良…っ!!
だからあたしが、あんたのこと心配して……!
…て、そんなことより! せっ、先生…!! 吉良くんが……』


『な、七夜くんっ!?
…大丈夫……!? しっかり……』


『ど、どしたんみんな……?
…って、七夜……!!?』


『うるせぇなーてめーら…。
騒ぐんならてめーらもコイツみてぇに…』


『何の騒ぎなのこれはっ!?
…!!
…竜崎くん、あなたまた……!』


『ど、どうしたんだみんな…!?

……これは!
…仁科、竜崎! …それからみんな!
いいから早く席に戻りなさい! 白川は、吉良の様子を……』



……倒れている俺の周りで、喧騒のような音と声が、立て続けに聞こえる。

だけど実は、俺は、それとは全く別の、“ ある異常 ” を感じはじめていた。


それは、背中で感じる、バスの走行音のこと。


ついさっきまで安定していたはずのバスの走行音が、今は、なんだか……微妙に乱れて感じる気が……

…と、そこまで考えた、


──その時。


<良雄好感度、-2(※)>
<小町屋好感度、+1>


/(※) 好感度の説明は、本編の直前にあります。/