黒の森と、赤の……。/ ■恋愛シミュレーションゲーム□

◆素直に謝ることにした。


俺は裕也の耳元に、 「まき込んで、ごめん…」 と、小さく囁いた。

そして裕也の体を、もとの座席に優しく戻す。

裕也は、『何が何だかわからない…』といった様子で俺の顔を見つめている。

…が、それには構わず、わずかに瞳が潤んでいるように見える司と、未だに唖然としている小町屋のほうに向き直る。

うつむいた後、ゆっくりと口を開いた。


「…ごめん司…！
…それに小町屋…！
冗談のつもりだったんだけど、やりすぎちゃったみたいだ…。

……本当に、ごめん……！！」






……しばらくの沈黙。


それを破ってくれたのは、小町屋の軽い笑い声だった。

「…あは…あはは。
…そうだと思った！
冗談が過ぎるぞ、吉良っ！(怒笑)」


…どうやら小町屋は、この場を平穏にしようと、わざと明るく振る舞ってくれているみたいだ。


…だけど、司は…。

…好きな人を、なかば強制的にばらされた、司は…。


…ましてや、好きな人の目の前で…。

…しかも、同性が好きだってことを…他の人の目の前で…。



……俺は、おそるおそる、司の顔を見上げた。