◆「司、お前裕也のことが好きなんだろ?」


「……へっ!?」


俺の軽い冗談に、一瞬遅れて異常なほどの反応を示したのは、驚くべきことに聞かれた司本人だった。


「…なッ、なに言ってんだよ七夜っ!?
わ…わかってると思うけど、裕也くんも、オレも…その……男だぞ!?」


…この反応…。

…まさか……な…。


その反応に興味を覚えた俺は、試しに司を釣ってみることにした。

わざとらしく、にやにやとした笑顔で、司の顔に視線を流す。


「えー?
でも裕也って、女の子みたいにかわいいから、別に好きでもおかしくないだろ?」


そこでわざと切り、司の反応を伺う。

裕也はびっくりしたような表情で俺と司を交互に見つめ、小町屋は何か考えごとをしている様子で静観している。

そんな中、数秒待ってようやく司から返ってきた返事がこれだった。


「……ハ、はっ…?
な、なに訳のわかんないこと言ってるの?」


…司の顔を見れば、気のせいか頬が少し上気し、額に冷や汗をかいているようにも見える…。

そこですかさず俺は、


「…てゆうかまあ、ぶっちゃけ裕也は俺とつき合ってるから、諦めてもらうしかないんだけどね?」


そう言って、裕也の背中に腕を回し、右肩を右の手のひらでつかむ。

そしてそのまま裕也の体を、自分のほうへグッと引き寄せた。