「えっと……」
深く息を吸って言葉を発すると、それを制すように恵の口の前に矢野が手を出した。
「待って、その先言わないで。
良くない答えだって分かったから。
まだ聞きたくない」
恵が首を傾げるとまた続ける。
「俺はずっと笹原さんのこと知ってたけど笹原さんはそうじゃないって知ってるから。
せめて、さ。
せめて俺のこともっと知って?」
眉を寄せたままの笑顔が痛い。
何でこんなことになっているんだろう……。
「今日の告白は宣戦布告、というか選手宣誓、みたいなさ。
うん、そんなんだから。
考えといて」
恵に心配させないためか、最後ににっこりと笑った矢野は、じゃあね、と言って駐輪場を去った。

