いつもより歯切れの悪い矢野は曖昧な笑顔のままだ。 「あの、矢野くん、あたし帰ろうと思うんだけど……」 自転車の前まで来て、困った。 わざわざ自転車置き場までついてきてもらうような間柄でもない。 「矢野くん、本当どうしたの?」 「あのさぁ、」 ほぼ同時だった。 「何?」 矢野は一回天を仰いでから恵と目を合わせた。 「笹原さんが好きです。 俺と、付き合わない?」