「あー、笹原さんチャリだもんね
顔真っ赤」

クスクス笑いながら矢野が恵の頬を指差す。

笑うと女の子みたいだ。

男子なのに、女の子みたいに可愛く笑う。
そこが彼の良さだとか。
確かこの前クラスの女子が話していた。


そして、明らかに元々の色ではない明るめの茶髪も彼によく似合っている。


「何? 頭何かついてる?」

物思いに耽りつつ、ぼんやりと矢野の髪を見てしまっていたらしい。

矢野がそう言って、少し眉を寄せて上に視線をずらして頭を振ったり髪を整えたりしている。