「千鶴ちゃん、転ばないでよ」 「いくら千鶴でもこのくらいの傾斜じゃ転ばないですよ!」 「あなた何もないところで転けるじゃない、何言ってんの」 男の人の方が笑っている。 別に盗み聞きする気は全くないのだが、なにせ静かなので全て筒抜けだ。 「あいつ結局来たな」 裕が呟いて起き上がる。 「あ、これユウのチャリじゃん」 向こうの男の人の声も聞こえる。 ユウ、って誰だ。