なぜ自転車が一台なのかというと、
目的地が小高い丘のようになっている場所で上るのが大変なことと、
そこに行くまでに土手を下りたりなんたりで暗い中慣れない恵が自転車を持って行くのは危険だと裕が判断したからだ。
「そんなに俺信用ねぇのかよ。
落としたりしねぇから乗れよ」
笑いながら言うが、
そういうことじゃないのよっ。
「あたし、重いから」
男子に言うのは少し抵抗があるがしょうがないので言ってみる。
裕はガリガリ、というほど細すぎでもないが細い。
程良く細い。
そんな彼に自分を乗せた自転車を漕がせるのは気が引けた。

