ブルームーン



「お、来た」

玄関の前で寒そうにコートの襟を寄せて待っていたのは裕だ。

……なんかこのシチュエーション、恋人っぽくない?

ニコッと微笑む裕に密かにときめきつつ、隣に並んだ。

「ごめんね、こんなとこまで」

娘の夜間外出に二つ返事で了承した親とは反対に、裕の方が恵が夜出歩くことを心配した。

それで行きは裕が家まで迎えに来て、帰りは家まで送るという彼女のようなことまでしてくれる約束になってしまった。

もちろん断ったが、裕も頑固なようで一歩も引かないのでお言葉に甘えることにした。