「そっか、そうだよね。
お互い様だったね」
「そういうこと。じゃあ俺寝るな、数学本当にありがと」
「いいえー、おやすみなさい」
電話を切ってから机の上に広がっている数学の教材を眺めた。
お礼するとかじゃなくても、教えられたら良いな、なんて思って数学をやることにした。
数学はちゃんと答えが出るから好きだ。
語学系の教科は不得意ではないけれど好きではない。
決まった答えが出ないし、答えの出し方も曖昧。
文法問題なら基本的に答えが決まっているから、多少はましだけど。
この時の主人公の気持ち、作者の意図なんて聞かれても知らないし。
人の気持ちなんて考えても分からないのに、そんなことを問題にされるのが気に入らないだけかもしれないが。

