――ピピピ……。 聞き慣れたアラーム音で目が覚めた。 時間を確認すると、もちろん設定していた午前二時半。 電話、来なかった。 少しがっかりしたが、こんなもんだろうと自分に言い聞かせて布団から出ようとする。 が、この季節、布団の中は天国だ。 ……出たくない。 まだ寝ぼけている頭と心地良い温度が再び恵を夢の世界へ誘いかけたとき、枕元に置いていた携帯が音を立てた。 この時間に電話してくる人なんて、 一人しかいない。 恵は文字通り携帯に飛びついた。