ブルームーン



十時。
早起きする予定の前の日は遅くてもこの時間までには寝る。


今日も寝る準備を整えて、布団の中に入っている。


充電器に繋いだ携帯電話でアラームをセットして、でもやはり電話が来ることを期待してしまう。


布団の中にいると、余計なことを考える。

今日一日の出来事だったり、勉強のことだったり、友達のことだったり。

今の恵の頭の中は電話が来るかどうかの一点に絞られていた。

あの間違い電話をするまでは全く興味のないクラスメイトだったのに、なぜか今は裕のことばかり考えている気がする。

……ダメだ、寝よ。

無理やり目を閉じて心を落ち着けようとしていると、早起きのせいで案外すぐに眠りに落ちた。