それ、聞いたことある。 電話口から聞こえてきた声が蘇った。 あの言葉が、こういう意味だったのなら……あたしは確実に返し方を間違えた。 「どうしよう、あたし……」 すごく嬉しい。そして同時に激しい後悔。 「え!? どうかした!?」 突然動揺し始めた恵に秋が狼狽える。 「その台詞、言われたことがあるの。でも知らなくて……。 どうしよう、もう今さらかな」 不安で手が震えた。 そんな恵の方を秋の手が優しく叩く。