ブルームーン



「聞きたい!」


返事はほぼ反射だった。

裕は電話の向こう側で笑いながら

じゃ、教えるね

と言ってくれた。


「それじゃあもう勉強するでしょ?
そろそろ切ろうか」

そう言われたとき、惜しいと思った。

間違い電話から始まったが、祐と話している時間は楽しかった。

そんなことできないと分かっていても、ずっと話していたいような、そんな心地よさがあった。