「あ、そうなんだ。 なら良かった」 ほっとしたように息をついた裕に勘違いしそうになる。 ぼんやりと月を眺めた。 月にうさぎがいる、なんてよく言うけれど、恵には残念ながらうさぎが見えたことはない。 満月でもやっぱりうさぎは見えないなぁ、なんてぼんやりと物思いに耽っていると、電話口から唐突に声が聞こえた。 「笹原さん、今夜は月が綺麗ですね」 ……何で今さら?? 月が綺麗だから電話してきたのじゃないのだろうか。