ずっとずっと見てるだけだった憧れの人。

叶わないと思っていた恋。


それがどんな運命か、私は今この人の腕のなかにいる。

触れることを許される距離にいる。




「ったく…可愛いことしやがって」




彼の噂をする女の子たちは知らない。


彼が甘く私に口付けることを。

その低い声で甘く愛を囁くことを。


口の端を上げながら私の肌をなぞるその指に体の芯が震える。


もう、この人の腕からは抜け出せない。





「明日休みだろ。泊まってけよ…な?」





甘美な果実のような誘いに、私は静かに首を縦に振った。



その先にある甘い時間を求めて。







End.