「…おい。今、何考えてた?」




広い綺麗なマンションの一室。


真っ黒なふかふかのソファーの上で私の髪を耳にかけながら囁いているのは、紛れもなく夏目部長で。

ネクタイは取れシャツのボタンが三つくらい外れているのも、その体重をかけるように私にもたれかかっているのもやっぱり、夏目部長で。




「あ、あの…!」


「なんだよ」


「ち、ちか、近くないですか…!?」


「自分の女の近くに行くのに何か問題でもあんのか?」


クツクツと喉で笑いながら私の耳に唇を寄せ髪を撫でる部長。


職場では絶対に見られないその笑顔にボッと顔が熱くなる。