おどおどしていると将吾がクスッと笑った。
「葵、」
「?」
「今日はせっかくのデートだったのに、最後に疑われて俺は傷ついたよ。」
「だからごめんって。」
「だから、機嫌直しにキスしてほしいな。葵から」
俺の視線に合わせるように、将吾は前屈みになる。
「俺から!?ってか今!?」
「そう、今。ここで」
「でも………」
「誰もいないから。ね?」
どうやら引く気はないらしい。
やっぱり頑固……。
「ほら早く。」
「じゃあ目、閉じろよ。見られてると恥ずかしいだろ…」
「はいはい」
将吾は笑って目を閉じる。
……綺麗な顔だよな。
同じ男とは思えない。
周りに誰もいないことを確認してから、意を決して触れるだけのキスをした。
「こ、これで良いだろう?」
「うん。ありがとう」
こんな嬉しそうな顔されると、胸がざわつく。
「今日は楽しかった!ありがとな!!じゃあまた学校で!!」
言いたいことだけ言って、俺は家に駆け込んだ。
背中でドアを閉めてから、ちょっと後悔……。
態度悪かったかな?
いや、でも…………
胸に手を当ててみる。
――俺の心臓が限界だったんだよ………。


