胸の動悸を誤魔化すように俺は話題を変えた。
「今日は何調べてんの?まだデジタル時計?」
「ああ。今、入力周波数の――」
「ストップ!俺にその説明は無駄だと思う。うん、絶対無駄!言ってることの半分も理解できない!」
「ふふ、神崎って面白いね。えーっと……」
榊はメモに目を通す。
「サッカー部なんだね。今日は朝練?」
「朝練は毎日だよ。でも今日は朝練じゃなくて、榊に会いに来たんだ。」
「わざわざ俺に?」
「なんか昨日から楽しみでさ。朝練しないのなんて入部して以来初だよ。」
笑って言ってるけど自分でも驚いてる。
部活のためだけに学校に来ていたものなのに…。
「もっと榊と話してみたくてさ。もしかして迷惑?」
「そんなことないよ。俺は友達がいないから。話してくれるの嬉しいよ。」
「よかった。あ、そうだ。榊ってさ昼飯とか一人で食べてんの?」
「まぁ、食べる時は一人かな。」
食べる時はって……。
「食べない時もあんの?」
「あまり食べられないから。」
「ダメだって。ちゃんと食わないと!」
だから身体細いのか…。
「そんなんじゃ力付かないぜ」
「こう見えても力は強いよ。神崎ぐらいなら持ち上げられる。」
「ほんとかよ?」
俺は疑いの眼差しを向けた。
榊よりは身長低いけど、俺だって男子高校生だし。
とても榊には持ち上げられないと思うんだけど。


