朝、いつもと同じ時間に家を出た。
いつもと同じ通学路。
いつもと同じ学校。
いつもと違ったのは、俺の向かった場所だった。
グランドでも部室でもなく、向かった先は図書室。
今日は窓からじゃない。
ちゃんとドアから入る気で来た。
ドアを開ける前に隙間から中の様子を窺う。
あ、よかった。
今日も来てる。
中には榊が昨日同様、片手に本を持ち難しそうな顔をしていた。
俺は数秒その姿を見つめてから、ドアを開いた。
榊が顔を上げたから、視線がぶつかった。
「おはよ、榊」
「……おはよう。えっと…」
榊は俺を見て眉を寄せた。
やっぱ覚えてないのかぁ…。
「俺、神崎葵。俺は榊の――」
「俺の友達?」
言おうとした言葉を榊が先に口にした。
透かさず榊はメモを取りだし、それを開いて俺に見せた。
そこには俺が書いた自分のプロフィールとメッセージ。
「朝、誰かにメモを見ろって言われてたの思い出して…。見てみたらこう書かれてたから。」
俺が書いたメッセージ。
『お前の友達』と昨日の俺から、今日のお前に残した言葉。
「俺の友達?」
もう一度聞いてきた榊に俺は大きく頷いた。
「俺は榊の友達だよ。」
「そうか」
安心した顔で榊は笑った。
ほらまた……
なんだか胸がドキドキするんだ……。


