「マジかよ!?!?」




思わず夕日に向かって叫んだ。





「…ま、マジです…」






河田が困惑気味に頷く。






「……」

「………」

「…………」




再び訪れる沈黙の嵐。





「……ま、牧瀬、さん」



今回、それを破ったのは河田だった。





「…僕、牧瀬さんといると、…た、楽しいんです、すごく」





緊張した面持ちでゆっくり、河田が言葉を繋いでく。





「…はじめは、それだけで、でも、段々、牧瀬さんともっと一緒にいたい、って、思うようになって、きて…」





夕日が、河田の顔を仄かに赤く照らす。





「…牧瀬さんが、他の、だ、男子とかと話しているのを見ると、なぜか、こう、なんか、モヤモヤ、して……」






もう、河田から目がはなせない。







「…それで、今、牧瀬さんが、純平さん、と一緒にいるのを見て、ぼ、僕…思ったんです。

…牧瀬さんの一番傍にいるのは、いつも僕でありたい、って」




…嘘でしょ。





夕日がやけに目にしみる。
河田の顔がぼんやり歪んで





「…バカ。
だから、期待させるな、って…」


「…きき、き、期待、しししてくだしゃい!!」




河田がそっと、掴んでいたあたしの手を引いて。


あたしはそれに惹き付けられるように、立ち上がった。






「…僕は、たぶん、牧瀬さんのこと、が…」


「…たぶん、ってなんだよ」




思わずちょっと吹き出す。





失礼な奴だな。





「い、いいいえ!絶対に!」





慌てて訂正する河田。





そして慈しむように、あたしを真っ直ぐ見つめると。






「…好きです。牧瀬さん」





はっきりと、そう言った。