「ちょっと、そこの女子高生!」


アンジェと歩いていると、蒼先生の家に来ていた女の人に声をかけられた。


走って来たらしい。




彼女は息を整えると


「柾樹の女と話をしたい。」


と、言った。




「どうする?」


アンジェが耳打ちする。



「助けがいるならメールして。」


アンジェがそう言ってくれたので、彼女と2人で話をすることに決めた。





「まさか、ネンネちゃんの方とはね…。」


ネンネちゃん呼ばわりは気に入らないけど、世間知らずなのは否めないので仕方ない…。


彼女、蒼先生と別れてくれとでも言うつもりだろうか?



私だって好きなんだもん。


負けたく…ない。



「私は、柾樹の昔の女ってとこ。

ゴムの包みのことだけど、あれは女がいるっていう私が用意した演出だから、気にしないでよ。」


彼女は続けて言う。


「女子高生に周りうろつかれて困ってるみたいだから、撃退すればヨリ戻るかなーなんて考えてたけど甘かったみたい。

アナタみたいな子いたら、無理ね。

私は柾樹から手を引くわ。」



「あの…、本棚に隠してた雑誌は?」


彼女の話はそれなりに理解したけど、解せなかったことを聞いてみた。


「え?それは知らないわよ。

気になるなら、柾樹を問い詰めたら?」



私は、蒼先生の部屋に走って行った。