「ダメ…ですか?」


私の言葉に、先生は困ったような顔をする。



「学校じゃ、駄目だよ。」


蒼先生はポケットから白いハンカチを取り出すと、私の唇を拭った。




ハンカチに、リップのピンク色がついた。


それに、蒼先生が口づけをする。


今までに見たこともないくらい、色っぽい表情をしていた。


そんな表情見せられたら、もっとドキドキしちゃうよ。




ハンカチから、唇を離すと


「間接キス。」


なんて言って、微笑んだ。



「あっ、先生ずるい!」




私がむくれると、蒼先生は指先で自分の唇に触れ…


そして、その指で私の唇に触れた。


「ゴメン、梨香。

ここじゃ、これが限界…。」



学校…だもんね。


誰かに見咎められたら、この関係は壊れてしまうもの…。





「先生、困らせて…ごめんなさい。」


「ん。」



蒼先生は私の頭を軽くポンってすると、教材室に戻っていった。