「ちょうど良かった、アンジェ。

そいつらのクラスと名前、控えといて。

今日の遅刻は、それでチャラにしてやる。」


蒼先生は、濡れた髪をかきあげる。



目が合ってしまい、すごく…ドキドキした。



「しばらく、自習な。」


蒼先生が出て行こうとしたとき、前列にいる運動部の女子生徒がタオルを手渡した。


部活で使うために持ってきているはずなのに、優しいなって思った。





しばらくして、蒼先生が剣道着姿で戻ってきた。


「先生、部活には早すぎますよー。」


剣道部の男子が、蒼先生をからかう。



「うるさいな、これしか着るもの無かったんだよ。

お前、今日はたっぷりシゴクから覚えておけ。」




この日、蒼先生は一日中、剣道着姿で過ごすことになった。




そのせいか、蒼先生が剣道部の顧問をしていることが、新入生たちに広まった。