バレンタイン以降、私は前みたいに蒼先生と話すことができなくなった。



元々、自分から話しかけることなんて、できなかった私。


それでも、部活の時とアンジェを交えての会話は、よくしていた。


今じゃ、それさえもできないでいる。


こんなことなら、好きなんて伝えなければ良かった…。




そんなある日、私は坂下先生に指導室へ呼び出された。


「最近の余合さんは、授業に集中できていないようですね。

何か、ありましたか?」



ここのところ、授業中にぼーっとしていて、先生方からよく注意を受けている。


その回数の多さに、坂下先生が気にかけてくださったのだと思う。




「いえ、特には…」


私は、坂下先生にウソをついた。


「そうですか。

学年末考査も近いので、授業はきちんと受けてください。」


「はい、申し訳ございませんでした…。」




一礼し、部屋を出ようとした私に、坂下先生が声をかけた。


「蒼先生が、心配していましたよ。」



蒼先生が?



そう思ったとたん、顔が火照ってきた。


多分、顔真っ赤だよね…。



坂下先生にそれを見られないように俯き、部屋を出た。