坂下先生の言うとおり、校門へ向かう。




校門に程近い桜の木の下に、背中を覆うほどの長い髪を耳の上でツインテイルにし、小豆色の服を着た少女がいた。


この小豆色、幼稚園から大学まであるミッション系女子校の制服だ。


付近の男子学生であれば、是非お近づきになりたいと憧れる箱入り娘が通っている。


なぜ、ここに…?



近づくと、高校生にしてはかなり小柄だと思った。


僕の身長が185cm程なので、身長差は40cm近くあるだろうか。




僕の視線に気づいた少女は

「ごきげんよう。」

と、声をかけてくれた。


あいさつで『ごきげんよう』だなんて、本当にお嬢様なんだな…と思った。




「桜、見てたんですか?」


「ええ、とても綺麗だから…。」


「あぁ、ホントだ。」


この春は忙しすぎて桜を見る余裕がなかった僕は、少女と一緒に桜を見ていた。