「えっと…旧姓、余合梨香です。」


そう言った途端に、男子から


「ショックだー!!」


なんて声があがった。



「高校出てすぐに家を売るような憂き目に遭いまして、今はアパート住まいです。

毎晩帰りの遅い旦那様を、家事をしながら待つ…という日々を過ごしてます。」


「もう、お嬢様の欠片もないわね…。」


アンジェにそう言われたので、頷いた。



「毎晩リコちゃんを待たせるなんて…、そのダンナに文句言ってやるー!」


剣道部だった男子が、息巻いていた。


「うん、頑張ってね。

私の旦那様、剣道7段なの。」


その言葉を聞いた瞬間、絶句されてしまった。





「それと、みなさんに蒼先生の最新情報をお知らせします。

ちなみに、本人もまだ知りません。」


みんなが


は?


というカンジで、私を見た。


「蒼先生は、この秋にパパになる予定です。」


私の言葉に殆どの人がきょとんとしている中、アンジェだけがニヤリと笑った。


蒼先生に視線を移したら、目が合った。


「マジで?」


蒼先生は、目を見開いて呟いた。


「今日、病院で診てもらったら…3ヶ月だって。」