「アンジェ、僕が梨香と会うのを阻止しに来た?」


「んー、逆かな。

蒼に会いたくないって言ってるリコが逃げ出した時に、捕まえるため。」



梨香は、僕に会いたくない…か。



「アンジェが味方してくれるのは、助かる。」


「勘違いしないで、私はリコの味方なの。」






「とりあえず、ケーキ食べ終わるのを待つか…。

アンジェも食べるか?」


「先生の奢りなんっすよー。」


脩一がケーキを食べながら、言った。


見かけによらず、かなりの甘党らしい。



「私はコーヒーだけでいい、太ると困るもの…。」


「まだ、グラビアやっているのか?」


「今は、TVの仕事が主かな。」



それを聞いて脩一と哲也が、帽子を目深に被ったアンジェの顔を覗き込んだ。



「「あ、杏ちゃんだー!」」


2人が騒ぐほど、男子学生に人気のタレントになっていた。



「あんまり騒がないで、気づかれるとマズイよ。」


アンジェが、人差し指を唇に押し当てて言った。




コーヒーを飲みながら、疑問に思ったことを聞いた。


「梨香の髪くれた時、何であんなこと言ったんだ?」


「あんなこと?」


「『この人殺し』って言ったことだ。」