昨日は松戸に酷い目に遭わされ、失くし物までした。


散々な日だったな…。



そう思っていたときに、脩一に呼び止められた。


「昨日は、スミマセンでした。」


脩一が、頭を下げた。



ロン毛を染めて見た目は派手だが、根は良い奴らしい。



「君が詫びの言葉を言うことは無いよ、コレを守ってくれただろう?

ありがとう。」


僕はそう言いながら、左胸に手をあてる。



「話がそれだけなら、もう良いかな?

申し訳ないが、用事があるんだ。」


僕がそう言うと、脩一は1枚の写真を差し出した。



1年ほど前、卒業式に梨香と2人で撮った写真…。


彼女の左薬指には、僕があげた指輪が光っていた。



僕が、失くしたと思って探していたものだ。



「これ、探してたんだ。

本当に、君には感謝する。」


脩一から写真を受け取ると、彼が口を開いた。


「写真の女の子、桜小路の知り合いなんだ。

あの、先生には悪いんだけど、哲也を…いえ、弟さんを軽く絞めあげて、先生と彼女のこと聞き出した。」


哲也と兄弟だってバレたってことは、梨香の話も洗いざらい喋っただろうな…。



「先生は彼女のこと亡くなったって言ってたけど、桜小路が正月に会っているんだ。」



正月って、今年の…か!?