「スズメ、彼は受け取らないんじゃないの?」


チョコを手にしたスズメという生徒に、顔が瓜二つの女子生徒が声をかける。



確か、桜小路という苗字の生徒が双子だ…もう一方は、ツバメだったな。


ツバメの方は、ウェーブがかった髪を背中の中ほどまで伸ばしている。


こうしてすぐに区別がつくと、教員としては助かる。



「みんなに配っているものなら、受け取るわよ。

ねぇ、先生?」



スズメが、既に開かれている箱を差し出す。




まぁ、義理チョコであれば…。


「いただきます。」


箱から、一口サイズのチョコを1つ取った。



ツバメが驚いた表情で、それを見る。


「蒼先生、チョコ受け取らずに断った…って聞いたけど?」


確かに、本命チョコは断った。