梨香の家を潰した奴に、手を貸せだと?


「断る!」


「ま、よく考えた上で返事をもらおうか。

そろそろ、火葬場に向かわなければな…。」



ドアを開け、出て行く時に振り向いた。


「柾樹、お前も来るか?」



誰が、火葬場なんかに行くものか。



僕が睨みつけたためか、来る気がないと分かったのだろう。



「無理やり引っ張って行っても良いが、お前のことだから、拾うべき骨を砕かれそうだ。」



そう言うと、部屋を出て行った。




10分もすると、家の中は静まり返っていた。



ここを出て行くなら、今しかない。


僕は愛用しているヴァイオリンだけを片手に、部屋を出た。