奴らの手によって、僕は再び部屋に閉じ込められた。


ポケットから、投げつけられた封筒を取り出す。




アンジェの言葉が、頭の中をぐるぐる回る。




僕の父親が、いずれ梨香が継ぐはずだった会社を乗っ取ったことは、僕を連れ戻したあの女が話した。


梨香の叔父さんが財産を持ち逃げしたことは、使用人たちの噂話で知った。



こうして軟禁されている僕でさえ知っているのだから、おそらく社交界では有名な話。



その上、僕と連絡が取れないのだから、利用された挙句に捨てられたと判断するのが普通だ。



もしかして、自ら命を…絶った?



ありえない話じゃない。



そうでもなければ、アンジェはあんなこと言わないだろう。





ここを逃げ出したところで、どうせ連れ戻されるのがオチだと早々に諦めた。



諦めたりしなければ、もしかしたらチャンスがあったかもしれない…。




僕は、手段を講じなかったことを後悔した。



「梨香、ごめん…。」


封筒を握り締め、僕は泣いた。





いくら謝ったところで


どれだけ泣いたところで


梨香が僕の腕の中に戻ってくることなんて、ないけれど…。