監視に見咎められて逃げたかな…?



そう思った時、いきなり顔面に何かを投げつけられた。




投げつけられたのは、白封筒。


僕はそれを拾い上げると、辺りを見回した。




物陰に、アンジェが隠れていた。


「随分な、ご挨拶だな…。」


苦笑する僕を、彼女は黙ったまま睨みつけた。




封筒を開けると、1房の髪の毛が入っていた。


「これ…まさか、梨香の?」


僕の問いかけに、アンジェはありったけの声で叫んだ。


「この人殺し!」




どういう…ことだ?





「どこから入ってきた!?」


マズイ、見つかった。



「逃げろ!」


僕はアンジェにそう言い残すと、監視を引き止めるために突進していった。




奴らはプロだ。



竹刀がなければ大したことのない僕では、すぐに自由を奪われる。



それでも、足の速いアンジェは逃げられたようだ。