目を覚ますと、ふかふかのカーペットに寝転がっていた。


手首を縛られ、ご丁寧に足枷まである…まるで捕虜みたいだ。


周りを見渡すと、部屋には高級家具があり、ドアは頑丈そうだ。


この部屋には、見覚えがあった。



ソファに優雅に座っている女を見て、捕虜みたいなんかじゃなく…捕虜なんだと気がついた。


「久しぶりね、気分はどう?」


僕によく似た顔の女が、話しかけた。


…訂正、僕がこの女に似ているんだ。


この女が嫌いだから、自分の顔も嫌い。



「これが夢ならすぐに目覚めたい程、最悪だな。」


「手荒な真似して、ごめんなさいね。

でも、あなたはこうでもしないと戻って来ないでしょ?」


「戻る気が無いから、無理やり連れ戻したワケか。」


「この家の女主人であり続けるには、柾樹がいないと都合が悪いのよ。」


「自分の都合ね…。

僕は、アンタのペットに成り下がる気はない。」


「まぁ、母親に対する口のききかたじゃないわね。

あ、住んでたところと職場は始末しておいたわ。」




何てこと、してくれたんだ!



そんな時、僕の携帯が鳴った。


この着信音は、梨香だ。



今日はデートだったのに…ゴメン、梨香。