3月も下旬になろうとしている頃、高校を卒業してから初めてのデート。


今まで人目を避けていた私たちは、電車で遊園地に行くことにした。


…で、駅前で待っているんだけど、時間になっても蒼先生は来ない。



遅れることは1度もなかったから、15分も経つと不安になる。


メールは、来てない。


電話してみたけれども…、出ない。




30分した頃だろうか、偶然通りかかったアンジェに声をかけられた。


「今日、蒼とデートじゃなかったっけ?」


「そうなんだけど…時間過ぎてるのに、まだ来ないの。」


アンジェは、喫茶店で待とうと提案してくれた。




2人でお茶を飲みながら、1時間近く待っただろうか。


相変わらず、メールや電話の応答はない。



「これ以上待っても埒があかないし、蒼ん家に行こうか。」


アンジェが、伝票を手にした。




「あの…付き添わなくても、1人で行けるから。」


「そうはいかないわよ、とっちめてやらなきゃ。

それに、動いて気を紛らわせたいっていうのもある…。」



アンジェの顔が曇る、脳裏に浮かぶのは…あのひと?



私は以前そうしたように、アンジェの左手を握った。


「やっぱり、ついて来てくれる?」